ネットワークブート型シンクライアント
ネットワークブート型シンクライアントとは?

パソコンなどのフルセットの情報処理機能を持たず、サーバに接続して使用することを前提とした簡素な操作用端末のことを「シンクライアント」(thin client)という。企業や官公庁、教育機関などで大量の端末を一斉に使用する環境に導入されることがある。ネットワークブート型は端末内部に固定的なストレージ装置を持たず、起動時にサーバから必要なソフトウェアやデータを取得する方式の端末である。
端末内部のファームウェアなどに起動に必要な最低限の機能のみを持ち、電源を投入すると「PXE」(Preboot eXecution Environment)などの仕組みを使って同じネットワーク上のサーバからOSのイメージファイルを取得してメモリ上に展開し、起動する。
ストレージを持たないため、電源を切ると端末内の情報はメモリから消去される。起動の度にサーバ上の最新の環境を取得・展開するため、端末ごとに個別に設定を管理する必要がない。なお、プログラムの実行は手元の端末で行うため、操作感はサーバで全処理を行う画面転送型シンクライアントとは異なり、通常のパソコンに近い水準を維持できる。
管理面での主な利点は、ソフトウェアの更新やセキュリティパッチの適用をサーバ側だけで完結できる点である。管理者がイメージファイルを更新すれば、次回起動時に全端末へ一斉に反映される。また、端末にデータが残らない構造は情報漏洩のリスクを抑え、故障時も別の端末に差し替えるだけで利用を再開できる。ストレージを搭載しない分、ハードウェアが単純で簡素になり、消費電力の削減や長寿命化にもつながる。
一方、ネットワークとサーバへの依存度が高く、回線が遮断されたりサーバに障害が発生したりすると、全端末が起動できなくなる。また、多数の端末が同時に起動すると通信やサーバへの負荷が集中するため、帯域設計やブートイメージの配信方法を慎重に検討する必要がある。オフライン環境では利用できないか、機能が著しく制限される。こうした特性から、同一構成の端末を大量に運用する企業のオフィス、学校のパソコン室、医療機関の院内端末、コールセンターなどで採用されることが多い。