ネットワークスライシング【network slicing】

概要

ネットワークスライシングとは、一つの物理的な通信ネットワークを用途や目的に応じて仮想的に分割し、複数の論理的ネットワークを同時に提供する技術。移動体通信規格5Gの中核的な技術の一つに位置づけられている。
ネットワークスライシングのイメージ画像

従来の移動体通信では、音声通話やデータ通信など多様なサービスが同一のネットワーク基盤上で提供されてきたが、求められる通信品質や遅延、信頼性は用途ごとに大きく異なる。例えば、高精細動画配信では大容量通信が重視され、産業機器の遠隔制御では超低遅延や高信頼性が求められる。

ネットワークスライシングは、こうした異なる要件に対応するため、物理的には共通の設備を用いながら、論理的に分離された複数のネットワークを構成する仕組みである。基盤技術として、ネットワーク機能の仮想化やソフトウェア制御を用いる。通信機能を汎用サーバ上で動作させる「NFV」(Network Function Virtualization)や、ネットワークをソフトウェアで集中制御する「SDN」(Software-Defined Networking)などである。

各スライスは相互に独立した論理ネットワークとして扱われるため、一つのスライスで障害や輻輳が発生しても、他のスライスへの影響を抑える設計が可能である。通信事業者は用途別に帯域幅や遅延特性、セキュリティ水準などを設計したスライスを柔軟に生成し、動的に管理することが可能となる。一般消費者向けサービスと企業向けの重要通信を同一インフラ上で共存させることができる。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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