トータルフロート【total float】
トータルフロートとは?

各作業には「最も早く始められる時点」と「遅くともこの時点までに始めなければならない時点」が存在する。トータルフロートは、この最遅開始時点から最早開始時点を引いた差として求められる。値がゼロの作業は一日でも遅れれば納期全体が後ろ倒しになり、そのような作業の連なりを「クリティカルパス」(critical path)と呼ぶ。正の値を持つ作業は、その日数の範囲内であれば遅延が生じても最終納期に影響しない。
注意すべきは、トータルフロートが同じ経路上の複数の作業で共有される点である。直列に並んだ作業群の合計で5日間のフロートがある場合、前の作業でそれを使い切ると後続作業のフロートはゼロになる。個々の作業だけを見て余裕があると判断すると、経路全体では余裕が失われているケースがある。
この値は、限られた人員や設備を効率よく配分する際の判断材料にもなる。余裕のある作業を後ろへずらし、フロートのない作業に資源を集中させることで、全体の遅延リスクを抑えられる。突発的なトラブルが生じた際も、トータルフロートの大きい作業から人員を一時的に抜き出し、クリティカルパス上の作業へ投入するといった対応が可能になる。
類似の概念に「フリーフロート」(free float)がある。こちらは後続の作業の最早開始日に影響を与えない範囲での余裕時間であり、トータルフロートと異なり他の作業と共有されない。トータルフロートはプロジェクト納期への影響、フリーフロートは後続作業への影響という、それぞれ異なる視点から余裕を捉えた指標である。