トランスポンダ【transponder】トラポン

概要

トランスポンダとは、受信した無線信号を増幅や周波数変換などの処理を行ったうえで再送信する装置。人工衛星や航空機に搭載されている装置がよく知られる。
トランスポンダのイメージ画像

transmitter” と “responder” を組み合わせた造語で、外部からの信号に応答して信号を返す機能を持つ装置を指す。無線通信分野では、入力された電波をそのまま中継するのではなく、周波数などを変換し、必要に応じて増幅や変調を施して再送信する構成が一般的である。これにより、長距離伝送や混信防止が可能となる。

代表的な利用例は通信衛星や放送衛星である。地上局から送られてきた微弱なアップリンク信号を受信し、それを増幅した上で、別の周波数に変換して再び地上局へダウンリンク信号として送り返す。この一連の動作により、広範囲にわたるテレビ放送波の配信や、遠隔地間でのデータ通信を実現する。

航空機や船舶にもトランスポンダが搭載されており、識別や運行管理に利用されている。航空管制において、地上のレーダーが空中の航空機に向けて質問信号を送ると、機体に搭載されたトランスポンダが即座に反応し、その機体の識別番号や飛行高度、速度といった情報を付加した応答信号を返す。管制官はレーダー画面上で個々の機体を正確に識別し、安全な運行を指示することが可能となる。

身近な生活の中では、高速道路のETC車載器や、非接触ICカード、物流管理に使われるICタグなどがトランスポンダの応用として挙げられる。微小な無線タグはそれ自体がトランスポンダの役割を果たしており、専用のリーダーからの電波を検知すると、内部に記録された固有の情報を送り返す。交通系ICカードなどに組み込まれている電源不要のパッシブ型ICタグは、受信した電波のエネルギーを電力に変えて駆動するため、半永久的な利用が可能である。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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