デマウイルス【hoax】

概要

デマウイルスとは、実在しないコンピュータウイルスに関する偽情報、および、その情報の中で名指しされる架空のウイルスのこと。技術的な不正プログラムそのものではなく、虚偽の警告文によって利用者の不安を煽る手口の一種であり、電子メールやSNSを通じて拡散する。
デマウイルスのイメージ画像

メッセージは電子メールやSNS、メッセンジャーアプリなどを介して届き、チェーンメールのように知人への転送を促す形で人から人へと連鎖的に広まる。内容は架空のウイルスへの注意喚起や対処方法の説明が中心である。

情報の信憑性を高めるため、実在するIT企業やセキュリティ機関、政府機関などの名前を無断で挙げ、「○○社が確認した」といった文言を添える例が多い。もちろんこれ自体も虚偽であり、大企業の名を借りることで受信者を信用させ、転送を後押しする工作が施されている。

主な危害は、記載された対処法に従って利用者が実際に操作することで発生する。危険なファイルだと偽ってオペレーティングシステム(OS)やアプリケーションソフトを構成する正常なファイルの削除を指示し、これを信じて実行するとシステムやアプリケーションが正常に動作しなくなる。中にはパソコンが起動不能に陥るほど悪質な指示が記された例もある。デマウイルス自体に感染力はなくても、利用者の行動を介して実害をもたらす点が通常のコンピュータウイルスとは異なる。

近年では、単なる偽情報の拡散に留まらず、画面上のエラー解消や認証完了を装って特定のキー操作を指示し、利用者自身に悪意あるコマンドを実行させて感染させる「ClickFix」と呼ばれる手法に悪用される例もある。また、実在しないウイルス感染を口実に電話や金銭の支払いを促す偽セキュリティ警告やサポート詐欺も確認されており、こちらは金銭や情報を騙し取る詐欺の一種として、従来型のデマウイルスとは区別される。

(2026.9.6更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
1997年8月より「IT用語辞典 e-Words」を執筆・編集しています。累計公開記事数は1万ページ以上、累計サイト訪問者数は1億人以上です。学術論文や官公庁の資料などへも多数の記事が引用・参照されています。