デジタルプラットフォーム取引透明化法【特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律】
デジタルプラットフォーム取引透明化法とは?

規制の対象はオンラインモール、アプリストア、デジタル広告の3分野である。該当する事業者は「特定デジタルプラットフォーム提供者」として経済産業大臣が指定する。指定基準は分野ごとに国内売上高で定められており、オンラインモールは3000億円以上、アプリストアは2000億円以上、オンライン広告表示事業者は1000億円以上、同仲介事業者は500億円以上とされている。米アマゾンドットコム(Amazon.com)、楽天グループ、LINEヤフー、米グーグル(Google)、米メタ(Meta Platforms)、米アップル(Apple)の6事業者(海外企業は日本法人)が指定されている。
指定事業者には主に3つの義務が課される。契約条件、検索順位の決定基準、事業データの利用範囲など取引に影響する情報の開示、および規約変更時の事前通知が求められる。加えて、苦情やトラブルに対応する体制を自主的に整備しなければならない。毎年度、自己評価を付した報告書を国に提出する義務があり、経済産業大臣がその内容を評価・公表する。この継続的な確認と改善の仕組みは「モニタリングレビュー」と呼ばれる。開示義務に違反した場合、経済産業大臣は勧告・命令を行い、命令にも従わなければ100万円以下の罰金に処される。
この法律が制定された背景には、巨大プラットフォームへの依存拡大がある。出店事業者やアプリ開発者は集客や配信、課金の仕組みをプラットフォーム側に大きく依存しており、理由の不透明なアカウント停止や一方的な規約変更、手数料値上げが事業活動に深刻な影響を与えることが問題視されてきた。公正取引委員会の実態調査でも、検索・表示順位の基準の不透明さや事業者データの無断利用などが出店者から報告されている。
法律の基本理念として、プラットフォーム事業者が透明性・公正性の向上に向けた取組を自主的に行うことを基本とし、国の関与は必要最小限とすることが定められている。規制の大枠を法律で示しつつ、詳細な運用改善は事業者の自主的取組に委ねる「共同規制」の手法が採られており、イノベーションの促進と取引の公正性確保の両立を図った設計となっている。