デジタルシティズンシップ【digital citizenship】デジタル市民権
概要

インターネットやデジタル機器が生活の基盤となった現代では、オンラインでの行動が現実社会と同様に他者や社会全体に影響を及ぼす。情報の真偽を見極める能力、個人情報を適切に管理する知識、オンラインコミュニケーションにおける倫理的な振る舞い、著作権やプライバシーへの配慮といった要素が、デジタル社会を生きるうえで不可欠なリテラシーとして認識されるようになっている。デジタルシティズンシップはこうした能力や姿勢の総体を体系的に捉えた概念である。
デジタルシティズンシップを構成する要素は論者や機関によって異なるが、米国の教育研究者マイク・リブル(Mike Ribble)氏による9要素モデルが広く参照されている。これはデジタル社会への個人の参画を「アクセス」「商取引」「コミュニケーションと協働」「エチケット」「フルーエンシー」(流暢さ:情報の吟味や技術の活用)「健康と福祉」「法律」「権利と責任」「セキュリティとプライバシー」の9つの観点で整理したものである。
教育分野においてはデジタルシティズンシップの育成が重要な課題として位置づけられており、学校教育のカリキュラムへの組み込みが各国で進んでいる。子どもたちがインターネットを安全に活用し、フェイクニュースを見抜き、ネットいじめに適切に対処できるよう指導することが、デジタルシティズンシップ教育の中心的な課題となっている。
一方、デジタルシティズンシップという言葉は法的・政策的な文脈でも用いられる。電子政府サービスへのアクセス権、オンライン上の表現の自由、デジタルデバイドの解消といった観点から、すべての市民がデジタル社会に平等に参加できる権利を保障するための政策議論においても、この概念が参照されることがある。