テナンシー【tenancy】
概要
テナンシーとは、クラウドサービスにおいて特定の利用者が専有する論理的な領域や、システム資源を共有する仕組みのこと。賃貸ビルの入居形態になぞらえて、利用者の単位を「テナント」と呼ぶ。

クラウド環境では、一つの巨大なシステム基盤を多くの企業や個人で共同利用することが一般的である。その際、利用者ごとにデータや設定が混ざり合わないよう、ソフトウェア的に切り分けられた独立した区画が提供される。この区画の持ち方や構造を総称してテナンシーと呼ぶ。
一つのシステムを多数の利用者で共有する方式を「マルチテナント」、特定の利用者のためだけに専用の環境を用意する方式を「シングルテナント」という。マルチテナントはハードウェア資源を効率的に分配できるため、利用料金を安く抑えられるという利点がある。一方、シングルテナントは高コストだが、高度なセキュリティの確保や独自のカスタマイズが容易となる。
多くのクラウドサービスでは、管理上の最上位単位としてテナンシーが設定されている。利用者はこの境界の内側で、ユーザーアカウントの作成や権限の設定、仮想ネットワークの構築などを行う。クラウド事業者は、仮想化技術やコンテナ技術を活用して、物理資源を効率的に分割しながら、各テナントの独立性を確保している。