タクトスイッチ【tactile switch】タクタイルスイッチ
タクトスイッチとは?

内部には皿状の金属バネが収められており、ボタンを押すとバネがたわんで接点に触れ、回路が閉じる。指を離すとバネが元の形に戻り、回路が開く。この切り替わりの瞬間に「カチッ」というクリック感が指先に伝わるため、操作が受け付けられたことを感覚的に確認できる。押した瞬間には電気信号が細かく断続する「チャタリング」という現象が発生するため、機器側の回路やソフトウェアで誤入力を防ぐ処理が施されることが多い。
端子は通常4本だが、向かい合う2本ずつが内部で繋がっており、実質的には2端子のスイッチとして機能する。基板への実装方法はスルーホール型と表面実装(SMD)型に大別され、標準的なサイズは6mm角程度である。構造が単純なぶん小型化しやすく、部品コストも低いため、ボタンを多数配置する製品にも採用しやすい。
テレビのリモコン、パソコンのキーボード、スマートフォンの音量ボタン、デジタルカメラのシャッターなど、身近な機器のほとんどに組み込まれている。外観上は大きなボタンに見えても、カバーの裏にこの小さなスイッチが隠れており、実際の接点切り替えを担っている場合が多い。電子工作の部品としても定番で、マイコンボードと組み合わせてLEDの点滅やプログラムの起動といった実験に使われる。
耐久性は製品によって異なるが、おおむね10万回から100万回程度の動作に耐えられる。ただし、長期使用による接点の摩耗や酸化で接触不良が起きることもある。用途に応じて、防水・防塵仕様、静音タイプ、横押し型など多様なバリエーションがあり、作動力(押下に必要な力)も製品ごとに設定が異なる。なお「タクト」という呼称はアルプスアルパイン(旧アルプス電気)の商標に由来するが、現在では同種スイッチ全般の通称として定着している。英語では “tactile switch” (タクタイルスイッチ)と呼ぶ。