セキュリティクリアランス【security clearance】
概要

公的機関の管理する機密情報が漏洩すると国家の安全や組織の活動に重大な影響を及ぼす恐れがあるため、関係者であれば誰でも閲覧できるわけではない。業務上の必要性が認められた人物についてのみ、経歴や信頼性を審査した上でアクセスを許可する。この許可そのもの、あるいはその審査・認定の仕組み全体をセキュリティクリアランスという。
審査では、犯罪歴や財務状況、外国政府・勢力との関係、薬物使用歴、精神的な安定性などが調べられる。調査は本人だけでなく、家族や交友関係にまで及ぶ場合がある。審査基準や調査範囲は国や組織によって異なる。一度認定されても永続的に有効とは限らず、定期的な再審査や、職務・生活環境の変化に応じた見直しが行われる。
多くの制度では、機密情報の重要度に応じて複数の等級が設けられている。例えば、米国では「Confidential」(秘)、「Secret」(極秘)、「Top Secret」(最高機密)の三段階が一般的で、等級が高いほど審査は厳格になる。上位の等級を持つ者は下位の等級の情報にもアクセスできる。ただし、クリアランスを取得していても、業務上必要な情報にのみアクセスが認められるのが基本である。これを「Need-to-knowの原則」と言い、最小限の権限だけを付与するという情報セキュリティの考え方に基づく。
従来は防衛や外交、公安といった領域で主に運用されてきたが、近年では経済安全保障や先端技術保護への関心の高まりを背景に、サイバーセキュリティや宇宙開発、半導体、人工知能などの分野にも適用範囲が拡大している。機密情報を扱う国際共同開発や政府調達では、関係者がクリアランスを取得していることが参加条件となる場合がある。日本では、2024年に施行された経済安全保障推進法の改正により、民間事業者の従業員を対象とする制度が導入された。