セキュリティアウェアネス【security awareness】
概要

コンピュータウイルスへの感染や機密情報の漏洩といったセキュリティ事故は、システムの脆弱性だけでなく、人間の不注意や知識不足に起因することも多い。不審なメールの添付ファイルを開く、安易なパスワードを設定する、機密情報を誤って送信するといった行動がその典型である。
こうした人為的なミスを防ぐため、従業員一人一人が脅威の存在を正しく把握し、状況に応じて適切に対処できるようにする人的セキュリティ対策が求められる。ファイアウォールやウイルス対策ソフトなどの技術的セキュリティ対策と組み合わせることで、組織全体のセキュリティ水準を高められる。
組織で実施されるセキュリティアウェアネスの取り組みとしては、eラーニングを用いた定期研修、標的型攻撃メールを模した模擬訓練、理解度テスト、セキュリティポリシーの周知などがある。対象となる内容はフィッシング詐欺やソーシャルエンジニアリングへの対処、パスワードや多要素認証の適切な利用、個人情報や機密情報の取り扱いなど様々である。
英語の “awareness” は「気づき」「自覚」などを意味し、単に知識を与えることと、その知識に基づいて自ら判断・行動できるようになることは異なる。アウェアネスプログラムの目的は、構成員それぞれが自分の立場に応じたリスクを意識し、主体的に動けるようにすることに置かれている。日本では長らく「セキュリティ教育」という言葉に集約されてきたが、近年ではこの「気づき」の概念を取り入れた考え方が広まりつつある。
サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、近年ではAIを悪用した精巧なフィッシングメールや、音声・映像を偽造する「ディープフェイク」を利用した詐欺も増加している。国際規格の情報セキュリティマネジメント(ISMS)でも、従業員への教育や意識向上活動は管理策の一つとして規定されており、組織の規模や業種を問わず実施が求められる場面が増えている。攻撃手法の変化に合わせて教育内容を継続的に更新していくことが前提となる。