シナプス【synapse】
概要
シナプスとは、脳内で神経細胞同士をつなぎ、情報を伝達する接合部。脳の学習や記憶の基盤となる構造で、機械学習モデルの人工ニューラルネットワークにもその概念が取り入れられている。

人間の脳には多数の神経細胞(ニューロン)が存在し、それぞれが他の神経細胞と接続している。その接続部分がシナプスである。シナプスは電気信号を化学物質に変えて隣の細胞に渡す働きをする。この接続の強さは固定されておらず、何度も繰り返し使われる経路の伝達効率は高まり、逆に使われない経路は弱まっていく。
このニューロン間「つながりの強さの変化」こそが、我々が新しいことを覚えたり、習慣を身につけたりする学習の正体と考えられている。人間の脳には1000億個弱のニューロンがあり、シナプスの総数は数百兆個とも言われている。それらが複雑に絡み合うことで高度な記憶と思考が可能になっている。
コンピュータ上の機械学習モデルの一つである人工ニューラルネットワークは、こうした生物学的な神経回路の構造や働きを参考に設計された数理モデルである。ニューロンに相当するノード同士を結ぶ接続がシナプスに相当する役割を担う。この接続には「重み」と呼ばれる数値が割り当てられ、入力信号に対してどの程度影響を与えるかを決定する。
学習データを与えると、入力に対して正解の出力に近づくように重みが調整される。人工的なシナプスである重みが適切に設定されることで、AIは画像を見て「猫」だと判断したり、複雑な文章を翻訳したりできるようになる。生物学的なシナプスのような物理的、化学的な複雑さはないものの、数理モデルとして情報を取捨選択し、伝達を制御するという本質的な役割は共通している。