シグナリング【signaling】

概要

シグナリングとは、通信ネットワークにおいて、データや音声の伝送そのものとは別に、接続の確立や維持、切断や経路の選択、通信状態の通知といった制御のための情報をやり取りする仕組みのこと。主たる通信を正常に機能させるための管理用の通信である。
シグナリングのイメージ画像

電話網では古くから用いられてきた概念であり、電話番号の送信や相手への呼び出し、回線の確立、切断処理などはすべてシグナリングによって行われる。実際の通話音声は接続完了後に別の経路で送られており、制御信号と音声データは分離して扱われる。

コンピュータネットワークでも同様の構造が採られている。インターネット上での音声通話や映像通話では、通信相手の探索や接続要求の通知、通信条件の調整がシグナリングに該当し、実際の音声・映像データメディア通信として別に送信される。VoIPではSIPSession Initiation Protocol)による手続きが、ブラウザ間のリアルタイム通信を実現するWebRTCでは接続前の経路情報や暗号鍵の交換がシグナリングに相当する。

制御信号を流す経路と実データを流す経路を分離する方式を「アウトバンド方式」という。両者が別の経路を利用することで、データ通信の混雑に左右されずに回線制御を確実に行うことができる。一方、同じ伝送路で制御信号を扱う方式を「インバンド方式」と呼び、用途や設計に応じて使い分けられる。

モバイル通信では、端末の位置登録や基地局との接続管理、ハンドオーバー、着信通知などもシグナリングによって使われる。利用者が移動中もネットワーク側は端末の位置を継続的に把握しており、着信時には適切な基地局を経由して呼び出しを行う。スマートフォンの急増に伴い、実際のデータ通信量に不釣り合いな大量のシグナリングがネットワークを圧迫する「シグナリングストーム」(signaling storm)という現象が問題となっている。

(2026.6.5更新)
 
この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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