クロックジェネレータ【clock generator】

ICチップや電子基板では単純な機能を持つ様々な電子素子を多数連携させて複雑な処理を行う。2つの素子が通信を行うには伝送タイミングを相対で調整すれば良いが、多数の回路が連携して動作するためには処理やデータ伝送のタイミングを一斉に同期させる共通の基準が必要となる。
クロック信号(clock signal)はこの基準となる一定周期の矩形波であり、信号が「高」から「低」あるいは「低」から「高」に切り替わるタイミングに合わせて各回路が処理を進める仕組みになっている。クロックジェネレータはこの規則正しいクロック信号を継続的に生成する役割を担う。
クロックジェネレータの中核には水晶振動子(クリスタル)が使われることが多い。水晶には電圧を加えると一定の周波数で振動する「圧電効果」があり、この特性を利用することで安定した基準周波数を生成できる。生成された基準周波数は「PLL」(Phase Locked Loop:位相同期回路)と組み合わせることで逓倍・分周され、システムが必要とする様々な周波数のクロック信号に変換されて各部に供給される。
コンピュータにおいてはCPUのクロック周波数が処理速度の目安として広く知られているが、実際にはCPU、メモリ(RAM)、拡張バスなどそれぞれ異なる動作周波数が求められる。マザーボード上のクロックジェネレータはこれらの部品に対して適切な周波数のクロック信号を個別に供給する役割を持っており、システム全体の動作を調整する要となっている。
クロック周波数を規定値より高く設定してCPUなどの性能を引き上げる「オーバークロック」は、このクロックジェネレータの出力周波数を変更することで実現される。設計上限を超えた周波数での動作は発熱の増大や動作の不安定化を招くリスクがあるため、十分な冷却対策と慎重な検証が前提となる。