クリーンコア【clean core】

クリーンコアとは?

企業の基幹システムへのERPの導入などで、パッケージ製品の標準機能をそのまま維持し、システムの中核部分に独自のカスタマイズを加えない状態を保つ設計・運用方針。クラウドERPの普及と共に広く取り上げられるようになった。
クリーンコアのイメージ画像

従来、多くの企業はERPパッケージEnterprise Resource Planning)を導入する際、自社の業務ルールや帳票に合わせてシステムを大幅に改造してきた。製品内部のプログラムを直接書き換えたり、独自の追加機能を組み込んだりするこうした手法は「アドオン開発」と呼ばれる。

こうした大幅なカスタマイズを行うと、導入当初は従前の自社の業務に即した動作が得られる半面、改変が積み重なるほど内部構造は複雑化し、製品のバージョンアップのたびに既存機能が正常に動くかを検証し直す負担が生じる。技術者の属人化も進みやすく、長期的な保守コストの増大を招いてきた。

クリーンコアでは、こうした弊害を回避するため、システムの中核(コア)を製品標準の状態に保つことを基本とする。自社固有の要件がある場合は、製品本体を直接変更するのではなく、外部プラットフォーム上で機能を開発しAPIを介して連携させる。中核部分と拡張機能を分離することで、製品提供元が配布する更新プログラムや新機能をそのまま取り込みやすくなり、セキュリティパッチの適用も迅速に行える。

この方針はクラウド型システムと親和性が高い。クラウドERPでは提供側が継続的に機能追加や更新を行うため、利用企業が本体に独自改変を加えていると更新作業が複雑化する。標準機能を維持したままであれば、新バージョンへの移行コストを抑えられ、AIデータ分析といった先端技術も取り入れやすい基盤が整う。

一方、クリーンコアの実践には業務プロセスの見直しが伴う。システムを自社業務に合わせるのではなく、自社の業務を標準機能に近づける発想が求められる。長年積み上げてきたカスタマイズの棚卸しや業務部門との調整には相応の労力がかかり、技術的な取り組みに留まらず業務改革のプロジェクトとして進める必要がある。

この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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