読み方 : ガウスきごう
ガウス記号
概要
ガウス記号とは、実数xに対してxを超えない最大の整数を対応させる数式上の記号。[x] または ⌊x⌋ の形で表記され、小数部分を切り捨てて整数を取り出す演算を表す。負の数への適用時には、0に近づける一般的な切り捨てとは異なる結果になる点に注意が必要である。

正の数の場合、[3.14] は 3、[5] は 5 といったように、小数点以下を単純に切り捨てた値となる。一方、負の数である [-2.3] の値は -2 ではなく -3 となる。これは -2 が -2.3 よりも大きく、「超えない」という条件を満たさないためである。
この演算は、数直線上で対象の数から負の方向にある、最も近い整数を求める操作に相当する。これを「床関数」(floor function)という。これとは逆に、x未満でない最小の整数を求める演算は「天井関数」(ceiling function)と呼び、演算記号 ⌈x⌉ で表される。
プログラミングではガウス記号自体は用いないが、床関数と天井関数の考え方は用いられ、多くの言語では標準ライブラリ関数などとして実装されている。例えば、JavaScriptでは Math.floor() がガウス記号に相当する床関数、Math.ceil() が天井関数である。配列の添字計算やページ数の算出、データの区間分割、座標を格子状の位置へ変換する処理など、様々な場面でこの考え方が用いられる。
この名称は、19世紀のドイツの数学者カール・フリードリヒ・ガウス(Johann Carl Friedrich Gauß)に由来する。ガウスは数論や代数学など数学の様々な分野に業績を残した人物で、数論の展開の中でこの表記を用いたことから、彼の名を冠して呼ばれるようになった。ガウスは [x] という記法を連分数の収束を単純な分数の形で表す演算にも用いており、「ガウスの括弧」(Gaussian brackets)という別の名称で呼ばれている。
(2026.7.3更新)