エッジトリガ【edge trigger】
概要

信号が低い状態から高い状態へ変化する瞬間を「立ち上がりエッジ」、高い状態から低い状態へ変化する瞬間を「立ち下がりエッジ」と呼ぶ。エッジトリガを採用した回路やシステムは、このどちらか一方、あるいは両方の変化の瞬間を合図として処理を実行する。
対照的な方式として、信号の状態そのものを基準とする「レベルトリガ」(level trigger)がある。エッジトリガは信号がオンまたはオフの状態にある間、継続して処理を実行し続けるのに対し、エッジトリガは状態が切り替わった瞬間に一度だけ処理を呼び出す。この違いにより、エッジトリガは短いパルス信号や単発的な変化を捉える用途に適している。
デジタル回路では、一定周期で信号が変化するクロック信号を基準に動作を行うことが多く、エッジトリガはこのクロック信号の立ち上がりや立ち下がりを、回路の状態を更新するタイミングとして利用する。代表例が「フリップフロップ回路」であり、Dフリップフロップではクロックの有効なエッジが到来した瞬間の入力値を取り込み、次の有効なエッジまでその値を出力として保持する。複数の回路の状態を同じタイミングで揃えて更新でき、同期式の順序回路で広く使われる。
コンピュータの割り込み処理においても、エッジトリガは信号線の状態変化を割り込みの発生条件とする方式として用いられている。信号がオフのまま持続していても割り込みが繰り返し発生することはなく、状態が変化した瞬間にのみ処理が呼び出される。
オシロスコープにおけるトリガ機能でも同様の考え方が使われており、入力波形があらかじめ設定したしきい値を指定した傾きで通過した瞬間を捉えて、波形の表示を開始する仕組みになっている。信号線の電圧が途中で不用意に変動しても、指定された瞬間の状態だけを取り出せるため、ノイズによる誤作動を防ぎ、システム全体の動作タイミングを正確に制御する目的でも用いられている。