エッジサーバ【edge server】

インターネット上のサービスでは通常、コンテンツや処理はデータセンターなど特定の施設に設置されたサーバ群に集約されている。利用者との距離が大きいほど通信の遅延が生じやすく、アクセスが集中すれば応答速度はさらに低下する。エッジサーバはこの課題に対処するため、世界各地の通信拠点や都市部に設置され、利用者に近い場所でリクエストに応答する。
最もよく知られた用途はコンテンツのキャッシュである。画像や動画などの静的ファイルをエッジサーバにあらかじめ保存しておくことで、配信元の「オリジンサーバ」(origin server)までデータを取りに行かずとも応答できる。これにより表示速度が向上し、オリジン側の負荷も低減される。こうした仕組みを提供するサービスは「CDN」(コンテンツデリバリネットワーク)と呼ばれる。
コンテンツ配信だけでなく、エッジサーバ上でプログラムを実行する「エッジコンピューティング」(edge computing)の用途も広がっている。認証処理やA/Bテストの振り分け、地域に応じたコンテンツの出し分けといった処理をエッジ側で完結させることで、オリジン側への往復なしにレスポンスを返せる。クラウド各社もエッジサーバ上でプログラムを実行するサービスを提供しており、アプリケーションの一部をエッジ側に移す構成が普及しつつある。
工場のセンサーや自動運転支援システムなど、IoT分野でも活用が進んでいる。リアルタイム性が重要な用途ではすべてのデータをデータセンターへ送信すると処理や伝送の遅延が問題になる場合があり、取得したデータをエッジサーバで分析して必要な結果だけを中央システムへ送る構成が採用される。通信量の削減にもつながり、回線の帯域不足や運用コストの低減にも効果がある。
セキュリティの用途としては、DDoS攻撃のような大量のアクセスをエッジサーバで遮断することで、オリジンサーバへの直接的な攻撃を防ぐことができる。WAF(Webアプリケーションファイアウォール)の機能をエッジに持たせる構成も一般的である。また、個人情報や機密データを外部ネットワークへ送り出す前に匿名化するといった処理をエッジサーバで行わせる方式もある。