アダプティブ【adaptive】
概要

通信分野では、回線速度や混雑状況に応じて映像品質やデータ転送速度を動的に切り替える方式をアダプティブと表現する。例えば、動画配信サービスなどで回線が混雑すれば画質を下げて再生の途切れを防ぎ、状況が回復すれば高画質に戻す制御を自動で行う方式を「アダプティブビットレート」(ABR:Adaptive Bit Rate)という。
Webデザインの分野では、閲覧者の端末種別や画面サイズを識別し、あらかじめ用意した複数のレイアウトから最適なものを自動的に選択して表示する方式を「アダプティブデザイン」(adaptive design)と呼ぶ。画面サイズに応じてレイアウトが流動的に変化する「レスポンシブデザイン」とは異なり、事前に固定的に用意されたレイアウトを切り替える方式である。
セキュリティの分野では、利用者のアクセス状況や行動パターンをもとにセキュリティレベルを動的に変更する認証方式を「アダプティブ認証」(adaptive authentication)と呼ぶ。普段と異なる場所や端末からのアクセスが検知された際に追加認証を要求するなど、リスクの度合いに応じて対応を変える。
教育にコンピュータシステムを導入し、学習者の理解度や誤答傾向を分析して、一人一人に適した課題や解説を自動的に提示する仕組みを「アダプティブラーニング」(adaptive learning)と呼ぶ。一律のカリキュラムを提供する従来型の教授法と異なり、個人の習熟度に応じてシステムが自動的に学習内容を変化させる仕組みである。
これらに共通するのは、外部環境や内部状態の変化を検知し、その結果に応じて動作を変えるという設計思想である。生物学における「適応」(adaptation)の概念から派生し、機械学習や制御理論の発展とともにIT分野での用途が広がった。現代では「インテリジェント」(intelligent)や「スマート」(smart)と並んで、自動化・高度化を印象づける語として用いられることもある。