アジリティ【agility】
概要

アジリティは「素早い」「機敏な」を意味する形容詞 “agile” (アジャイル)の名詞形である。決まった作業を高速に進める速度(スピード)とは異なり、予測しにくい変化を察知し、状況に応じて方針や行動を修正できる俊敏性を表す。
ビジネス分野におけるアジリティは、企業が市場動向、顧客ニーズ、競合環境の変化に即座に対応する能力を指す。新たな課題や機会に対して意思決定を素早く行い、組織や業務の進め方を柔軟に見直せる状態を意味し、変化への適応力を評価する際に用いられる言葉である。
IT分野におけるアジリティは、ソフトウェアや情報システム、開発組織が利用者の要求や事業環境の変化にどれだけ迅速かつ柔軟に追従できるかを表す。要件が開発の途中で変わることは珍しくなく、新たな機能追加や仕様変更が生じた際に、大規模な作り直しをせず短期間で修正できるシステムはアジリティが高いとされる。
この考え方を体現する開発手法が「アジャイルソフトウェア開発」である。事前に要件を確定させて一括で開発を進めるウォーターフォール型とは異なり、短い期間(イテレーション)ごとに設計、実装、テスト、リリースを繰り返しながら、利用者からの評価や市場の変化を反映して仕様を段階的に洗練させていく手法である。
システム開発におけるアジリティを高める技術や仕組みとしては、システムを構成要素ごとに分割して連携させる「マイクロサービス」設計、クラウドサービスの活用、開発と運用の連携を密にする「DevOps」、継続的インテグレーション(CI:Continuous Integration)や継続的デリバリー(CD:Continuous Delivery)などがある。これらはシステムの変更や拡張を迅速に行える環境を整える手段として位置付けられている。