WPA 【Wi-Fi Protected Access】

概要

WPA(Wi-Fi Protected Access)とは、無線LAN(Wi-Fi)上で通信を暗号化して保護するための技術規格の一つで、WEPの代替を企図したもの。また、通信機器などが同規格に準拠していることを認定する認証制度。業界団体のWi-Fi Allianceが運用している。

初期の無線LANでは「WEP」(Wired Equivalent Privacy)と呼ばれる暗号化方式が用いられてきたが、2001年頃から様々な脆弱性が発見され、もはや安全ではないとみなされたため、規格策定の途上だったIEEE 802.11iの標準案を先取りする形で2002年10月にWPA仕様が発表された。

通信の暗号化そのものはWEPと同じ「RC4」方式をベースとしているが、鍵長が128ビットに拡張され、さらに48ビットの「初期化ベクトル」(IVInitialization Vector)と呼ばれるパラメータを併用する。通信中に一定の送受信データ量毎に暗号鍵を変更する「TKIP」(Temporal Key Integrity Protocol)と呼ばれる仕組みを採用し、暗号鍵が盗まれにくいようになっている。

利用者の認証機能についても規定された。個人・家庭・小規模事業所向けの「WPA Personal」(パーソナルモード/WPA-PSK)では事前共有鍵PSKPre-Shared Key)を用い、同じSSIDに接続するすべての利用者が事前に周知された同じパスフレーズを入力して認証する。

大規模事業所向けの「WPA Enterprise」(エンタープライズモード)では、IEEE 802.1X標準に基づくRADIUS認証サーバを利用することができ、の利用者ごとに個別に発行されたIDとパスワードによって認証を行う。

2003年にはWPAに対応しなければ「Wi-Fi CERTIFIED認証を得られないようになり、以降のすべての認定機器でWPAが利用できるようになっている。2004年にはIEEE 802.11i標準の完成版を元に「WPA2」規格が発表された。WPAとほぼ同じ仕様だが、最長256ビットの鍵を用いるAES方式の暗号化などが追加されている。2018年にはWPA2後継の「WPA3」が発表されている。

(2018.6.29更新)

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この記事の著者 : (株)インセプト IT用語辞典 e-Words 編集部
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